事情があって奈良にある私の生家を一部整理をすることになった。 そこでいくつかのものを持ち出したわけだけれど、土地柄法隆寺の管長の書だとか富本憲吉の小品とかもあるのだが、何を置いても私が手許に置きたかったのはこのノリタケのディナーセットである。私が生まれる前からこの家と共にあり、私の食器の原点だ。 写真のノリタケは昭和初期、生家の新築祝いに当時ノリタケの食器をアメリカに輸出している仕事をしていた人がくれたものだそうだ。1ダースのフルディナーセット、だったはずだがティーポットが最初から欠けていたらしい。祖母はこれだけのものをいただきながらさんざん、ぶーたれていたとか(笑)今や、それどころか随分数が減ってしまっている。ばーちゃん、ゴメンネ。 この食器は誕生日やクリスマスなど大切な日の食卓に必ず上った。私はいつか自分がディナーセットを持つなら「こんな」セットが欲しいと思っていた。そして、近年のノリタケで私が最も「ノリタケらしい」と思うシリーズをやはり1ダースで買った。それが9662 APHRODITEシリーズ。デザートのプレート の写真で使用した皿に対してhenさんが素敵だと言ってくれたが、これは正直とても嬉しいコメントだった。 自宅に生家のノリタケを送り、きれいに洗ってテーブルに並べたとき、あらためてその美しさに胸が締め付けられる思いがした。 名古屋にあるノリタケの博物館に展示されているような食器を実際に使うことが出来るのは、どんな高価な現役のブランド食器を使うより心地よい。
by friand
| 2005-08-19 12:04
| 道具・小物
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