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法隆寺


幼稚園児の頃、法隆寺は私の庭だった。
ピアノの手ほどきをしてくれた先生が法隆寺の塔頭に住んでいて毎週兄と一緒に通っていた。この先生とは小学校1年生までのお付き合いだったのだけれど、音大を出たピアノの上手なお姉さんとレース鳩に夢中の大学生のお兄さん、という姉弟で何だかワクワクするようなレッスンだったことを覚えている。
そして当時祖父が法隆寺の宗務所にいた。彼は元々役人で事務が得意であったらしい。退職後、当時の管長に請われて事務長(というのだろうか)として寺で事務方のつまり世俗の仕事をしていた。
私たちはピアノのレッスンが終わると宗務所に行く。若い見習いの僧が出てきて祖父に会いにきたと言うと、奥に通してくれる。そして待っている間にとてもおいしいお茶と法隆寺の御紋の形のはくせんこうのお菓子が出される。私たちはちょっとしたお客様気分でかしこまって緊張しながらそれを味わう。
今にして思えば夢のような贅沢な時間であった。宗務所の畳の部屋の薄暗いひんやりした感触、濃いめに入った子供には少し苦い上等の緑茶。あのお菓子は本当に美味しかったのだろうか?

今日、本当に久しぶりに法隆寺に行った。
初めて拝観券を買って入った。1000円という値段に驚き、新しくできたオレンジ色に輝く宝物殿に驚く。法隆寺は永遠に変わらないものだと信じきっていた私は少しショックを受ける。
すごく当たり前のことなのだけれど法隆寺はとても遠くに行ってしまっていた。
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by friand | 2005-03-29 19:50 | 雑記
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